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専門医を目指す獣医師へ|2次診療の仕事・なり方・年収を解説

CT・MRIを使った高度医療、腫瘍・循環器・神経などの専門科——獣医師の「2次診療」という働き方を、現役獣医師ゆっけが整理。一次診療との違い、専門医・認定医のなり方、年収のリアル、転職ルートまで、公開データをもとにまとめました。

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#二次診療#専門医#認定医#高度医療#小動物臨床#キャリア
専門医を目指す獣医師へ|2次診療の仕事・なり方・年収を解説
ゆっけ書いた人:ゆっけ(現役獣医師)保健所→産業動物臨床→家畜保健衛生所→畜産と、4つの現場を経験。
ワン

ワン

ゆっけさん、「2次診療」ってよく聞くんですけど、普通の動物病院と何が違うんですか?

ゆっけ

ゆっけ

ざっくり言うと2次診療は、かかりつけでは診きれない難しい病気を、紹介を受けて診る「高度医療の専門施設」です。

先に正直に書くと、私自身は一次診療も2次診療も勤務した経験はありません(公務員と産業動物の出身です)。

今日は、2次診療で働く同期の話や、各学会・大学病院が公開している情報をもとに整理します。

専門を究めたい人にとって、ここは獣医療のいちばん奥にある世界です。

📌 この記事の結論

  • 2次診療は紹介制の高度医療(CT・MRI・専門科で深く診る)
  • キャリアの核は専門医・認定医(2024年に広告も解禁)
  • なるにはインターン→レジデント→認定試験の長い道
  • 研修期は薄給でも、専門性は年収アップの王道
💡この記事でわかること
  • 一次診療と2次診療の違い(役割・設備・働き方)
  • 2次診療にある専門科と、現場のリアル
  • 専門医・認定医のなり方(インターン→レジデント→認定試験)
  • 2次診療・専門医の年収のリアル(公開データ)
  • 2次診療へ移るための転職ルートと、向いている人

結論:2次診療は「専門を究めたい人」の舞台

先に結論から。

2次診療は、一次で診きれない難病を"紹介"で診る、高度医療の専門施設です。

ひとつの分野をとことん究めたい人にとって、獣医療のいちばん奥にある世界です。

理由:なぜ「専門医・認定医」が武器になるのか

理由は、「この病気なら、あの先生」と"替えのきかない存在"になれるから。

  • 紹介制なので、深い専門知識と高度な機器が求められる
  • その専門性が、指名・年収・市場価値をまとめて押し上げる
  • 研修期は薄給でも、長期で見れば「年収を上げる王道」になる

つまり、下積みの覚悟さえあれば、5〜10年後の価値を大きく伸ばせる道です。

具体例:一次診療と2次診療は、役割がまったく違う

同じ「動物病院」でも、一次と2次では立ち位置が別物です。

一次診療(かかりつけ)2次診療(高度医療)
役割予防・一般的な病気やケガの治療一次で対応が難しい難病・専門治療
来院飼い主が直接来院多くは一次診療施設からの紹介制
診療範囲広く浅く(何でも診る)科を限定して深く(腫瘍だけ・循環器だけ等)
設備血液検査・レントゲン・超音波CT・MRI・特殊外科機器など高度機器
求められる力幅広い知識+飼い主との対人力専門分野の深い知識・技術

一次診療から2次診療へ、紹介でバトンを渡す動物医療の役割分担を示した図解 一次診療と2次診療の役割分担(紹介のバトン)

一次診療は「町のかかりつけ医」、2次診療は人医でいう「大学病院・専門病院」に近いイメージです。

一次診療の先生が「これはうちの設備では難しい」と判断したとき、CTやMRI、専門医のいる2次診療施設に紹介する。

このバトンの受け渡しで動物医療は成り立っています

2次診療にある主な専門科

2次診療施設では、獣医師が診療科を限定し、その分野を深く担当します。

代表的な科がこちらです。

専門科主に診るもの
腫瘍科がんの抗がん剤治療・手術・放射線治療
循環器科心臓病の精密検査・カテーテル治療など
神経科てんかん・椎間板ヘルニア・脳の病気(MRI診断)
外科整形外科・軟部外科などの高度な手術
眼科緑内障・白内障手術など専門的な眼の治療
皮膚科難治性のアレルギー・皮膚疾患
画像診断科CT・MRIの撮影と読影の専門

施設によって設置科は異なります。

複数科をそろえた総合2次診療施設もあれば、特定科に特化した専門病院もあります。

ゆっけ

ゆっけ

2次診療には「ここで治らなかったら、もう打つ手がない」という重い症例が集まると、同期はよく言っています。

だからこそ深い専門知識と高度な機器が必要で、やりがいも責任も大きい。

一次診療とはまったく違う、緊張感のある現場だそうです。

キャリアの核になる「専門医・認定医」制度

2次診療で働くうえで切っても切れないのが、専門医・認定医という資格です。

ここは知らない人が多いので、丁寧に整理します。

ポイントは、2024年(令和6年)の制度改正で、専門医・認定医の資格名を病院が対外的に広告できるようになったこと。

獣医療広告の制限を見直す枠組みが2024年4月1日に施行されました。

そのうえで同年7月24日に「認定・専門獣医師協議会」(日本獣医師会)が農林水産大臣の指定機関として告示されています。

これにより、協議会が認証した資格を実際に掲げられるようになりました。

これまで「○○専門医です」と打ち出しにくかったのが、公的なお墨付きのもとで示せる時代に入っています。

分野協議会が認証している主な資格
外科・麻酔日本小動物外科専門医/動物麻酔技能認定医
腫瘍獣医腫瘍科認定医Ⅰ種・Ⅱ種
循環器獣医循環器認定医・上席認定医
皮膚科/画像診断/内科ほか各学会の認定医(獣医内科認定医・獣医総合臨床認定医など)

出典:認定・専門獣医師協議会(日本獣医師会)。農林水産大臣の指定は令和6年(2024年)7月24日告示。このほか産業動物・実験動物医学の資格もあります。

なお「専門医」は「認定医」より審査基準が厳しい上位資格にあたります。

まず認定医を取り、さらに研鑽を積んで専門医へ——というステップが一般的です。

専門医・認定医にはどうやってなる?

ワン

ワン

ゆっけさん、専門医ってすごく難しそうですけど、どうやったらなれるんですか?

ゆっけ

ゆっけ

正直、長い道のりで、①インターン(1年)で一般臨床の基礎を固める → ②レジデント(専門研修医、2〜3年以上)として専門教育を受ける → ③学会発表・論文・認定試験の合格で資格取得という流れが代表的です。

取得まで10〜20年かかることもある世界です。

ルートは資格によって違います。

認定医のなかには「5年以上の臨床経験+学会出席・発表などのポイント制」で取得を目指せるものもあります。

つまり、必ずしも新卒でレジデントに入る道だけではありません。

一次診療で何年か経験を積んでから、専門分野を志す人も少なくありません。

どの分野に進むかで研究室・施設選びが効いてきます。

だから「早めに方向を決めて動いた人ほど有利」というのは、どの学会でも共通して言われることです。

2次診療・専門医の年収のリアル

気になるお金の話。

研修医(インターン・レジデント)の時期は、給与は控えめです。

修行期間と割り切る必要があります。

大学の2次診療施設(獣医臨床センター)が公開している募集要項を例に見てみます。

区分給与の例
研修医(有給研修獣医師)月21.6万円〜(賞与 年4.5か月分・昨年度実績)
勤務獣医師月27.3万円〜(宿直は2か月に1回程度)
特任臨床教員月37.8万円〜(経験・役割に応じて)

出典:大阪公立大学 獣医臨床センター 募集要項。あくまで一例で、施設・経験により変わります。

ワン

ワン

研修医のうちは、一次診療より低いこともあるんですね…。

ゆっけ

ゆっけ

そこは正念場ですが、見方を変えると専門性は「年収を上げる王道」です。

資格を取って指名で症例が集まるようになれば、勤務医でも診療単価が上がって給与に反映されます。

開業すれば、専門を看板に集患できる。

さらにセミナー講演・執筆・フリーランスといった道も開けます。

短期の給料より、5〜10年後の市場価値に投資する働き方。

そう考えると、2次診療は強いキャリアです。

参考までに、民間の2次診療施設の求人では、想定年収375〜550万円ほど(月給23〜30万円+)の例があります。

獣医師全体の平均年収(約453万円)と比べると、スタートは平均的です。

でも専門医・上席認定医クラスになると、一次診療の勤務医を大きく上回っていくのが2次診療の給与カーブです。

2次診療へ移るための転職ルート

2次診療を目指すルートは、大きく3つです。

ルート中身
① 大学病院・2次診療施設のインターン/レジデントに入る新卒〜若手の王道。腰を据えて専門教育を受けられる
② 一次診療で数年経験を積んでから移る基礎的な臨床力をつけてから専門へ。年齢を重ねてからの挑戦もここ
③ 興味のある専門科の学会に入り、症例・発表を積む認定医のポイント制ルートを見据え、働きながら準備する

2次診療施設の求人は数が限られ、専門性が問われます。

だから転職エージェントの非公開求人や、学会・施設とのつながりが効いてきます

「どの科を究めたいか」を先に決めるほど、進む道がはっきりします。

向いている人・向いていない人

向いている人向いていない人
ひとつの分野をとことん深く究めたい幅広く何でも診る「町の獣医さん」でいたい人
難病・重症例に向き合うやりがいを求める人研修期間の薄給・長い下積みを避けたい人
認定医・専門医の取得や、学会発表・研究に関心がある人救急・宿直など不規則な勤務が体力的に難しい人
長期目線で市場価値を積み上げたい飼い主との長いお付き合い(かかりつけ)を大事にしたい人

まとめ:専門を究めたい人の、最高の舞台

  • 2次診療は、一次で診きれない難病を紹介で診る高度医療の世界
  • 腫瘍・循環器・神経など科を限定して深く診る
  • キャリアの核は専門医・認定医。2024年に専門性の広告も解禁(4月に枠組み施行→7月に協議会が指定)
  • なるにはインターン→レジデント→認定試験の長い道。一次経験から目指す道もある
  • 研修期は薄給でも、専門性は年収アップの王道
ゆっけ

ゆっけ

下積みは長く、究める覚悟もいりますが、「この病気のことなら、あの先生」と頼られる存在になれるのは、この世界ならではの喜びです。

2次診療は、誰にでも勧める道ではありません。

でも、一次診療を経験してから「もっと深く学びたい」と移る人もたくさんいます。

気になるなら、まずは興味のある専門科の学会をのぞいてみるところから始めてみてください🐾

あわせて読みたい

出典・参考認定・専門獣医師協議会(資格・制度)/獣医療広告制限見直しについて(農林水産省)大阪公立大学 獣医臨床センター 募集要項(給与例)

※ 本記事は各学会・大学病院の公開情報をもとに構成しています。制度・給与は年度や施設によって変わるため、最新情報は各学会・施設の公式情報でご確認ください。

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