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産業動物獣医師の1日|現役獣医師がリアルな仕事内容を時系列で公開

現役獣医師ゆっけが、九州地方で産業動物獣医師として働いていた頃の1日のリアルなタイムスケジュールを公開。8:30〜17:15の業務内容、季節ごとの違い、向き不向きまで時系列で詳しく解説します。

📅🔄14分で読めます
#産業動物#1日のスケジュール#体験談#獣医師のリアル#九州
産業動物獣医師の1日|現役獣医師がリアルな仕事内容を時系列で公開
ゆっけ書いた人:ゆっけ(現役獣医師)保健所→産業動物臨床→家畜保健衛生所→畜産と、4つの現場を経験。
ゆっけ

ゆっけ

今回は、私が九州地方で産業動物獣医師として働いていた頃の、ある平日の1日をそのまま公開します。

きれいな仕事自慢ではありません。

悪露のにおいが染みついたつなぎのまま昼飯を食う話まで、現場のリアルをそのまま書きました。

産業動物への転職を考えている方、ぜひ読んでみてください。

📌 この記事の結論

  • 産業動物の1日は8:30〜17:15・往診8〜10件・走行100km
  • 移動はプロボックス、昼食は車内飯+15分の昼寝
  • 当直は分担制で、当直じゃない日は呼び出しゼロ
  • 体はキツいが、「この手で命に関わる」手応えがある
💡この記事でわかること
  • 産業動物獣医師のリアルな1日のタイムスケジュール(8:30〜17:15)
  • 1日8〜10件・走行100km前後の現場感
  • 季節で変わる仕事内容の違い
  • 当直体制のリアル(小動物臨床との違い)
  • 向いている人・向いていない人の判断軸

なぜ、わざわざ「1日」を公開するのか。

理由は、求人票や説明会では「実際の時間の流れ」までは分からないから。

朝から夜までの流れを見るのが、その仕事との相性を知るいちばんの近道です。

まず数字で全体像をつかむ

文章の前に、1日のスケール感を数字で。

📐1日のスケール感(数字で見る)
担当エリア
農場群を巡回
半径30〜40km
1日の往診件数
8〜10件
1日の走行距離
約100km
使用車両
産業動物獣医師の相棒
プロボックス
拘束時間
+当直日のみ夜間対応
8:30〜17:15

数字だけ見れば、ハードに感じないかもしれません。

ただ、1件ごとに着替えて、泥にまみれて、また移動して——の繰り返し。

夕方には、体力がガス欠になります。

タイムスケジュール

8:30|出勤・準備

診療所に出勤したら、まずその日の分担決めです。

誰がどのエリアを担当するか確認したら、プロボックスに薬を積み込みます。

注射薬・補液・器具類——手際よく積まないと、現場で「あれがない」となる。

地味だけど、大事な作業です。

ゆっけ

ゆっけ

プロボックスは産業動物獣医師の相棒で、ここまで現場に最適化された商用車、他にないと思います

トランクが広くて段差が少なく、補液の段ボールがちょうど収まるんです。

9:30|診療開始(緊急性の高い順に巡回)

牧場で牛を聴診する産業動物獣医師。背景に牛舎と、診療道具を積んだ往診車

往診のイメージ。1件ごとに農場を回り、車には診療道具一式を積んでいます

急性乳房炎などの緊急案件から、順番に回ります。

特に「牛が立たない」という連絡が来たら最優先。

起立不能は原因が複数あって、判断も処置も早さが命です。

ゆっけ

ゆっけ

本音は効率よく回りたい、でも「とりあえず急いで来て!」と言う農家さんに限って、めちゃくちゃ遠い場所にいたりするんですよね…。

午前中に4〜5件回ることもあれば、起立不能1件に2時間かかって午前はそれだけで終わる、なんて日もあります。

12:30|昼食・昼寝

往診車の中で昼食をとります。

外食は基本ムリ。

汗だくのつなぎ+悪露や膿汁のにおいが染みついた状態でお店に入るのは、他のお客さんに申し訳ない。

なので、車内飯が定番です。

往診車の運転席でおにぎりを食べたあと、シートを倒してうたた寝する産業動物獣医師

お昼は車内飯+15分の昼寝が定番でした

昼食後、私は必ず昼寝をしていました。

キンキンに冷えたプロボックスのシートで、15〜20分のうたた寝。

これが本当に最高なんです。

ゆっけ

ゆっけ

「サボってる」じゃなくて「回復してる」です、午後の診療の質を保つために必要な投資、本気で言ってます。

15:30|帰所・カルテ入力・補充作業

午後の診療が一段落したら、診療所に戻ってカルテ入力。

往診中にメモした内容を清書するイメージです。

その後は薬の補充。

特に夏場は、補液の消耗が桁違い

プロボックスのトランクに補液をぎっしり詰め込む作業は、夏の風物詩でした。

翌朝の「補液が足りなかった」だけは、絶対に避けたい。

補充は念入りに、いつもより多めに——これは習慣というより生存戦略です。

17:15|帰宅(当直日は別)

追加の呼び出しがなければ、定時で帰宅。

ただ、夕方に農家から電話が来ることもあります。

ゆっけ

ゆっけ

私の診療所では当直制がきっちり決まっていて、当直じゃない日は呼び出しゼロでした。

「今日は◯◯先生の当直日」と分担表がある。

小動物臨床でよくあると聞く「全員でなんとなく対応」とは、精神的な負担が全然違います。

季節で変わる「1日の景色」

産業動物臨床は、季節で1日の中身がガラッと変わります。

同じスケジュールでも、見える景色は別物です。

📋季節で変わる「1日の景色」
熱中症・脱水・乳房炎が急増。プロボックスは補液で満杯。車内冷房だけが救い。
分娩・難産・新生子の低体温。早朝呼び出しが多く、手指がかじかむのがつらい。
春・秋
年間で一番平和。「8〜10件・走行100km」のリズムが安定する。
繁忙期(夏前・冬前)
予防接種シーズンが重なり、1日12件ペースになる。

「夏は暑さと脱水との戦い、冬は寒さと分娩との戦い」とよく言っていました。

年間スケジュールが体に染み込むまでは、季節の変わり目で体調を崩しがちです。

向いている人・向いていない人

5年やって感じた肌感を、正直に書きます。

向いている人

  • 一人で運転する時間が苦じゃない人(むしろ好きならベスト)
  • におい・血液・体液に強い人
  • 農家さんと世間話ができるコミュニケーション力がある人(技術より大事と言ってもいい)
  • 1日の中で自分のペース配分を作れる人(昼寝も含めて)
  • 体力に最低限の自信がある人

向いていない人

  • 常に清潔な環境で働きたい人
  • 屋内のチームワーク重視の働き方が好きな人
  • 運転が苦手・一人で長時間移動するのが苦痛な人
  • におい・体液に体が拒否反応を出す人

「向き」は事前に分かりにくく、やってみて初めて気づく部分も多いです。

でも運転とにおいの2つだけは、やる前にイメージトレーニングしておくと後悔が減ります

1日を振り返って

ゆっけ

ゆっけ

こうやって書き出すと結構ハードに見えますが、産業動物臨床の5年間、私はわりと好きでやっていました。

体はバキバキになるし、においもすごい。

夏はとにかく暑い。

それでも「自分の手で動物の命に関わっている」という手ごたえは、臨床ならではのものだったと今でも思います。

小動物臨床と大きく違うのは、フィールドが農場と往診車というオープンな世界であること。

診察室という閉じた空間で1日中過ごすわけじゃない。

九州の田舎道を走りながら次の農場に向かう移動時間が、ある種のリセット時間になっていました。

向いている人にとっては本当に面白い仕事で、向いていない人にとっては体が持たないかもしれない。

どちらなのかは、やってみるまで分からない部分もあります。


他の転職先と比べたら、産業動物獣医師はどこに位置する?

獣医師の主な転職先を、ワークライフバランス・給与・採用ハードルの3軸で比較するとこんな感じです。

転職先ワークライフバランス給与採用ハードル
⭐ 産業動物獣医師(当直あり)(2年目以降アップ)◎(低い)
地方公務員◎(低い)
製薬会社△(やや高い)
食品関連企業△(やや高い)
一般開業医(小動物)◎(低い)
ゆっけ

ゆっけ

産業動物の強みは「採用ハードルが低い+2年目以降の給与が伸びる」こと——地域選びさえ間違えなければ、年収600〜700万円も狙えます。

一方で当直の有無や運転距離は診療所で大きく変わるので、見学で必ず確認してください。


※ これは私の経験に基づく一例です。地域・診療所・担当エリアによって1日のスケジュールや業務内容は大きく異なります。

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